蹴ると脚の付け根が痛い — サッカーのグロインペインが治らないと感じるとき
「強く蹴った翌日に、脚の付け根が重く残る」。サッカーなど蹴る競技では、鼠径部(そけいぶ)の痛みが強度を上げるたびに出ることがあります。
痛む場所だけを見ても、原因が分からないことがあります
蹴る動作は、軸足(体重を乗せる側の脚)で体を支え、蹴り足(ボールを蹴る側の脚)を振る動きの組み合わせです。グロインペイン症候群は、こうした動作で続く鼠径部まわりの痛みをまとめて指す呼び方です。
- 軸足側のお尻 片脚で骨盤を保てないと、脚を振り出す力を付け根の筋肉で作りやすくなる
- 股関節の前側 後ろへ引ける範囲が足りないと、腰の反りで角度を補い、その脚の付け根の前側は短いまま引かれやすくなる
蹴る瞬間、軸足が地面から受けた力は骨盤と上半身のひねりに変わり、蹴り足へ渡ります。関節から関節へ順に受け渡されるこの流れを運動連鎖といいます。渡しきれない分は、脚の付け根をまたぐ筋肉が引き受けやすいと考えられています。
こんなときは、まず整形外科で診てもらってください
脚の付け根の痛みには、画像を含めた診察で確かめる必要があるものもあります。次の項目に当てはまるときは、この先の内容を行わず、すぐに受診してください。
- 蹴った(切り返した)瞬間に鋭い痛みが走った
- 痛くてその脚に体重をかけられない
- 安静にしていても痛む
- 太ももから足先にかけてのしびれ、感覚の鈍さ、力の入りにくさがある
- 体の発熱をともなう脚の付け根の腫れがある
- 立ち上がると脚の付け根にふくらみが出る
成長期は骨盤に骨が成長する部分があり、蹴る動作で傷めることがあります。未成年の方は保護者に伝えて受診をご検討ください。年代にかかわらず、次の場合も整形外科でご相談ください。
- 数日空けると軽くなるが、強く蹴ると再び痛む
- 以前より少ない回数で痛みが出る
- 走れる距離が短くなっている
軸足側と股関節の前を確かめておきたいこと
上の「すぐに受診してください」の項目に当てはまらない方が行うものです。痛みが出たら、その場で中止してください。
- 軸足で骨盤を保てるか: 壁の横で鏡に向かい、左右の腰骨に手を当て、片方のひざを曲げて床から離したまま10秒、左右とも行います。浮かせた側の腰(手の高さ)が下がる、または上体が横へ傾くときは、立っている側で骨盤を保つ力が届いていない可能性があります
- 股関節を後ろへ引ける余地があるか: あおむけで両脚を伸ばし、片ひざだけを両手で胸へ引き寄せます。左右とも行い、伸ばしたままの脚の太ももの裏が床から浮く側は、その股関節の前側が伸びにくい可能性があります
競技復帰までの進め方は、スポーツ障害・コンディショニングでご紹介しています。
脚の付け根への負担を減らすために、自分でできること
上の「すぐに受診してください」の項目に当てはまらない方が、歩いていて脚の付け根が痛まない段階で行ってください。医療機関にかかっている方は、その指示を優先してください。痛みが出たら、その場で中止してください。
強く蹴る練習は、痛みなくこなせた量を上限に少しずつ広げ、翌日に重さが残るようならその手前の量まで下げてください。
片脚立ちホールド(軸足側で骨盤の高さを保つ)
軸足側で骨盤を保てると、付け根の筋肉だけで脚を振り出す場面が減りやすくなります。
左右の腰骨に手を当てて片脚で立ち、腰の高さをそろえたまま20〜30秒保ちます。腰が下がる、または上体が傾いたときに立っていた側の脚から始め、左右2セットずつ行います(左右で差がなければ、どちらから始めても構いません)。
腰の高さが保てずぐらつくときは壁に手をつき、脚の付け根に痛みが出たら中止してください。
腸腰筋ストレッチ(片ひざ立ちで付け根の前を伸ばす)
股関節を後ろへ引ける範囲が戻ると、左右どちらの脚でも、付け根の前側が短いまま引かれる場面が減りやすくなります。
痛む側の脚を後ろにした片ひざ立ちから始めます。前の脚のすねを床と垂直に保ったまま骨盤を軽く後ろへ起こし、後ろ脚の付け根の前側が伸びる位置で20〜30秒保ち、左右2セットずつ行います。
伸びる感じよりも痛みが強いときは骨盤を起こす量を減らし、脚の付け根に痛みが出たら中止してください。
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